【本音 SIDE】
こんにちはー。おはようからおやすみまで暮らし見つめる、布仏 本音です~。
だんだん達が、おりむーの部屋に行ってる間。部屋でお菓子を食べて待っていたんですが。
ここで思わぬハプニングが発生しました。
だんだんがついさっき帰って来たんだけど。
大きなお土産も一緒に持ち帰って来ちゃったんだー。
んー?
担いでるのって、今朝教室にやって来た転校生さんだねー? たしか、だんだんの中学校の頃からのお友達さんだよねー。名前はたしか、凰鈴音ちゃん? にへー、それじゃあ、りんりんだね~♪
さっきも、その娘と鬼ごっこしたから覚えてるよ~。楽しかったねー。
あれ?
なんで泣いてるのかな? あ、あれー? どうしたの? 何で泣いてるのー? だんだんが泣かしちゃったの? むー、駄目だぞーだんだ…え、違うのー?
んー。
とりあえず、お菓子食べなよ。美味しいよー? …え? だんだんお夜食作るの? えー! いいな、いいな~! わたしも食べるー。
色々、込み入った事情があるようだけど。お腹一杯になればすぐ元気になるよー。
ところでだんだん。
いい加減に、りんりんを降ろしなさいー! むー、なんだか面白くないぞー。
だんだんがキッチンに向かった後。
私は、まだグスグスしているりんりんに近寄り、事情を聞くことにしました。
さぁ~、この本音さまーに話してみなさい。
にへ~♪ 一度言ってみたかったんだこの台詞ー。あ、ポッキー好き? ポテチもあるよ? オレンジジュースもー♪
だから泣きやんでー。いいこいいこ~(なでなで)。
だんだんがお夜食を作っている間。私は泣き虫さんを慰めようと頑張りますよー。
ん? 私の名前? 私は布仏 本音っていうんだよ。よろしくねーりんりん~♪ ありゃ? 怒られたー。えー、可愛いよりんりんってー。
それから少し時間が過ぎて。
「むー。それはおりむーが悪いよー!(ハムハム)」
「一夏の馬鹿、一夏のボケ、一夏の鈍感、一夏の誑し、一夏の…(ハムハム)」
「おおう。なんだこの萌え時空は…!? ハムハム喰ってる姿が俺の心臓をわし掴んで離さねぇ!! 相棒!」
【既に記録済み。抜かりは無い(キリッ)】
「流石だ。もはや言葉なんて不要だな俺達には…」
【会話は大切です相棒!?】←ちょっと必死
「文通があるじゃないか!? 手紙の力舐めるなよ!!?」
「…何、くだらないやり取りしてんのよぅ。(スン)」
「りんりん~。あーん♪」
「だから、りんりんって呼ばな…ハム。」
「えへー♪ 美味しい~?」
「…うん。(もぐもぐ)」
「俺、もうゴールしても構わないっ!!(鼻血ドバドバ)」
【メールです、二代目『頼むから来ないでくださいっ!!』とのことです。】
「三途の川の近場をキャンプ場にしから今度はそうだなー? ペンションでも建てるか!」
【しつこいメールですね『極楽からの苦情も来てるんです!! 地獄の方が良いって魂が増えて困ってるんです!! 勘弁してくださいいやホントお願いします後生ですからあああ!!』。流石二代目。】
「ふっ。当然だ!」
【またメ…『三代目さんがビキニ姿で勧誘活動してるんですが!? ってか何で人になってんの!? 魂だけだからって、歴代さん達は何でもありか!?』 おい、三代目って雌か? 雌なのか? ん?】
「は、はは、はははは。こ、困った娘だな~? 三代めえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇっ!?(ボキボキベキャ!! コチョコチョ。)ぶわははははははははははははは!? 誰だあああああ!? 相棒にいらん事吹きこんだのはああああ!?」
「何やってんのよ。」
「二人(?)共仲良しさんだね~。」
だんだんが夜食を持ってきて。
私とりんりんは、それをレンゲですくって黙々と食べながらお話ターイム。
『だんだん特製すぺしっくちゃーはん』だっけ?
まだ食べた事なかったけど、これは美味しいよー。極楽極楽、うまうま♪
むー、それにしても。
話を聞いてみるに、おりむーは乙女心を猛勉強した方がいいと思いまーす。
女の子の約束を、間違えて覚えるなんて絶対に許せる事じゃありませんー!
よーし、りんりん。やけ食いだー。私も手伝うぞー!
それから私は、りんりんと一緒に。ちゃーはんを綺麗に完食するまで、黙々と食べ続けた。
その間、だんだんの絶叫が止まなかったのはお約束~。
「んに~♪ お腹ぽんぽんだねー。」
「うっ、少し食べ過ぎたかも。はぁぁ…それもこれも、全部一夏のせいよ!!」
「そうだそうだー!」
ちゃーはんを全部たいらげ。お腹一杯になった私とりんりん。
んー。お腹一杯になったおかげかな? りんりんに少し元気が戻ったみたい。よかったよかったー。
そんな私達に、ごたんだごーのお仕置きから解放されただんだんが、ゆっくりと近づいてきた。
あ、お帰りー。
だんだん手には、いつの間に用意したのか。
コップに注がれた烏龍茶が二つお盆の上にのかっていて。流れるような動きで私とりんりんの前に置いてくれる。
わ~。
「だんだん、ありがとー♪」
「紳士だからな!! 当然だ! へい鈴さん。どうだった? 『弾特製スぺシック炒飯』の味は? 一年前よりもさぞ美味かろう。」
「ん、まぁね。」
「…軽くね? ねぇ軽くね? まぁ俺は別に気にしないがな!! …ねぇ軽くね!?(半泣き)」
「気にしてんじゃないの!!」
「べ、別にそんなんじゃないんだからね!?」
「だんだんツンデレ~。」
【気持ち悪っ】←瞬間削除
「今あんた相棒に罵倒されたわよ?」
「ふふんっ♪」
「何で胸を張って誇らしげなのよ!?」
りんりんの突っ込みに、だんだんはヘラヘラっと笑い。
りんりんの頭を、数回くしゃくしゃ撫でた後。自分のベットに歩みより、その上に腰を降ろした。
んー、なんだか。りんりんのお兄さんみたいだね~。だんだんはー。
りんりんも、だんだんに撫でられた頭を「う~~~~」と恥ずかしそうに、おさえてるしねー。
「いやはや、それにしても。まさか鈴が一夏とあんな約束をしていたとは。隅におけんな~? このこの~♪」
「このこの~♪」
「ふ、二人してからかってんじゃないわよ!! い、いいでしょうが別に!!」
「俺はてっきり、空港で俺と蘭が離れた時に何か約束でもしたのかと思ったんだがね?」
「あ、あれは! その…。」
「まぁ大方、最後に告白しようとしたけど結局言えずにズルズルと時間引きのばして終わっちまったーってオチだろうけど。」
「りんりん…。(ちょっと残念な瞳)」
「うっうっさい!! 予想つくなら察しなさいよ!! それとそんな眼で見ないでよっ!」
「まぁそれはそれとして、本命の約束内容は一夏のアホが間違えて覚えてるとはな~。あいつ本当に馬鹿だな。」
「むー! 女の子との約束は、何をおいても優先される事なんだぞー。おりむーはお馬鹿だー!」
「全くよ!! あいつってホントにアホなんだから! 鈍いにも程があるわよ!! あたしが一体どんな気持ちで言ったっか…! 言ったか…。」
威勢よくりんりんが、おりーむーに文句を言っていたけど。
急に、暗い顔になってしょんぼりしちゃった。りんりんのツインテールも、しょぼーんとたれ下がっちゃってるよ~。
元気出してー、りんりん~。
顔を伏せたりんりんが、ぽそっと声を発した。
「…一夏にとって。あたしとの約束なんて、どうでもいい事だったの…かな。」
…りんりん。
うー、そんな悲しい顔しちゃやだよー。
「そんなこ「んなことねーだろ? 何言ってんのかね、このチャイナっ娘は?」…だんだん。」
「弾?」
りんりんの言葉に、私は否定しようと声を出そうとして、だんだんに遮られた。
隣をみれば、いつもと同じヘラヘラとした気の抜けた笑顔のだんだんが居て。何故だかとっても安心できる。
ん~♪ なんだか、ほっとするなー。だんだんのこの笑顔は~。
「ちょっと違う視点から考えてみようや鈴。確かに約束の内容を間違えて覚えてた一夏が全面的に悪いがね~。鈴と約束をした事を覚えていた点だけは、俺はあいつを評価するね。」
「どういうこと?」
「む~?」
「確かに内容は間違えてた。けど、重要なのは『一夏が、間違えて覚えてしまった約束を、今でも覚えていた』ことだ。」
「はい?」
だんだんの言葉に、りんりんは怪訝そうな顔をするけど。
私は、だんだんのその台詞にピンときたよー。あー、なるほどねー?
でも、私は空気の読める子なのです。お口にチャックします。むぐむぐ。
「思い出してみ? 一夏の奴『鈴の料理の腕前が上がったら、酢豚を毎日奢ってくれる』てのが、あいつが鈴と交わした内容だと本気で思ってたろ?」
「…うん。」
「まぁ、変換された内容のアホらしさに頭痛はするがね~? けどよー鈴。」
「何?」
「普通さ? 『~を奢ってくれる』なんて、そんな日常生活でよくありそうな内容をパッと思い出せると思うか? それも小学校の頃の話で、何年も経ってるってのに? 『誰かが飯を奢ってくれるって約束をした』じゃなくてだぜ? まぁ、『毎日』って所は、ちょいと特殊だけどなー。」
「―――――――――っ!! あ。」
「他の『誰か』じゃない。『鈴が』だ。つまり、あいつは『鈴が毎日酢豚を奢ってくれる』って覚えたヘンテコな約束を、ずっと覚えてたって事になるな~。ってことはだ鈴。」
だんだんは、りんりんの眼をしっかりと見て言葉を続ける。
りんりんも、さっきとは違って少しづつだけど、瞳に輝きが戻っていく。
「一夏にとってお前との約束は、間違えて覚えてヘンテコな意味になってしまっていても。今でもすぐに思い出せるくらい、大事な思い出の一つになっているってことじゃね? 少なくとも俺はそう思う。」
「…。」
「紳士としては0点だ。うむ、淑女との約束を間違えて覚えるなど言語道断。許せるもんじゃない!」
「…うん。」
「けど、友人としては、まぁ情状酌量の余地あり…てとこが妥当かねー?」
「…友達、かぁ。」
「そう、友達としては、な? ま、何を言いたいかって言うとだな? 鈴さんや。」
「ん。」
だんだんの言葉を噛みしめるように頷くりんりん。
そんな、りんりんの様子を何処か優しげな眼でみるだんだんは、言い聞かせるように言葉を放つ。
「一夏の心の中。それもけっこう深い場所にお前はちゃんと存在してるよ。自信を持て鈴。 俺が太鼓判押して断言してやるぜ。」
そう、だんだんはニヤーっと笑い。りんりんに笑い掛けた。
りんりんは、そんなだんだんの顔を穴があほど見つめて―――。
不意に顔を伏せて、ゴシゴシと眼元を拭い。
そして、ちょっと赤くなった眼をだんだんに向けて、声を発した。
「そ、そんなの、あんたに言われなくても分かってるわよ!! と、当然じゃない!!」
ちょっぴり照れ臭そうなりんりんの姿に、だんだんはヘラヘラっとした顔で笑い。どこか満足そうに頷いている。
んー♪ よかったー。りんりんが、、また元気になったよー♪
だんだんグッジョブー!
「えへへー、 りんりんが元気になった~。元気りんりんだねー?」
「む! 聞き捨てならんぞ、のほほんちゃん! そこは勇気だろう!?」
「バッ! だから止めてよその呼び名!」
「えー? なんでー。」
「何でだよりんりん?」
「止めろつってんでしょ!? 昔それで散々からかわれたんだから!」
【チャ~ン、チャ~ン♪ チャチャチャチャチャ~ン♪】(愛と勇気だけが友達の、孤高のヒーローの歌)
「何をピンポイントでタレ流してんのよ七代目ええええええええええええっ!!?」
「鈴、大丈夫だ。俺と一夏もお前の友達さ! これで四人だ!」
「私も、もう友達だよー。だから五人ー。」
「勝手にあたしを寂しい人間にするなああああああっ!!」
【ああ胸が寂しかったんでしたね】
「…おいコラ、このポンコツ今なんつった?」
「おおう、中々言うじゃないか相棒!! 俺も負けてられないと思う次第だがへい鈴さん何故足を振りかぶっているのでせうかちなみに相棒は俺の腰の下半身に巻かれているという事を想定した上で冷静に考えてくれると嬉しいなと愚考致しますが待って止めてお願いしますその蹴りの先には紳士のデリケートゾーンがあるんだあああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
「りんりん体が柔らかいんだねー?」
「のほほんちゃん止めてええええええ!!? ピンチよ!? 紳士のデリケートゾーンがピンチですよ!? 数年後にオカマバーにビックママとして俺君臨しちゃうよ!? 待て落ち着「このポンコツ――――【ヒラリ】って避け…!? あ!?」 ああもうどうにでもなれー(逃避)」
この日。IS学園に入学して初めて。私はだんだんの声にならない絶叫を聞いた。
その後、壁に手を突きトントン小気味に跳んで耐え忍ぶだんだんの背中を、りんりんと一緒に撫でてあげました。
りんりんも「ご、ごめん! ごめん弾!」と、だんだんに謝ってたねー。だ、大丈夫~? だんだんー?
そんな私達に、脂汗をびっしり浮かべ、青白く苦い笑顔を浮かべてサムズアップするだんだんが、妙に輝いて見えたのは気のせいじゃないと思った。
そして―――――――――――――。
「…んにゅ…?」
―――― 深夜。
どうしてか分からないけど、私はいつもなら絶対に眼を覚まさない時間に眼を覚ましてしまった。
「ん、うー…?」
うー?
ぼけーっとする頭で、私は自分の隣に眼を向ける。
そこで小さな寝息をたて、ぐっすりと眠っていたのは―――。
「…すぅ…すぅ。」
ツインテールをおろして、寝間着姿で私の手を握って眠るりんりんの姿だった。
んー。
そぉいえばぁ~、確かりんりんに、今日は泊っていってよーってお願いしたんだったね~。
あの後、流石に就寝しなきゃ不味い時間になっちゃって。
お開き~ってなった時に見えた。りんりんの寂しそうな顔がほうっておけなかったんだ~。
えへー、お友達になった記念に~って言った時のりんりんの驚いた顔が、可愛かったな~♪
だんだんはというと。
『よし! じゃあ鈴。俺のベット使え! 安心しろ! 俺はバスルームで寝るから心配無用!』
『何でバスルーム!? 止めなさい! 他にあるでしょうが!』
『ふむ? なら『河』の字になって一緒に寝るか? よし待ってろ人数集めてくる』
『なんで『河』の字!?』
『―――【ピ】あ、もしもし? 一夏、実は今よー』
『何でよりによって一夏呼ぶのよおおおおお!!? 気まず過ぎるでしょうがあああああっ!!?』
『わははははははははははははは!!!!!!!』
って、相変わらずのだんだん節を連発してたけどねー。
でもきっと、おりむーに電話したのは。りんりんの怒鳴り声を聞かせて、元気になった事を暗に伝える為だと思う。
んー、だんだんはやっぱり優しいな~♪
その後は結局、私とりんりんが一緒のベットで寝る事で治まったけど、だんだんとしてはちょっと不本意そうな様子だったよー。
だんだんは紳士さんだからねー。私達が二人で一つベットで寝るのに、自分だけベットを一人で使うことに抵抗があったんだと思う。
そんなに気にしなくてもいいのになー。
そこまで寝ぼけた頭で思った私は、何気なくだんだんが気になって隣のベットに視線を移した。
りんりんを起こさないように、ゆっくりと顔を動かし―――。
――― ベットの上で沢山のパネルを展開し、それらを真剣な瞳で眺め、操作するだんだんの姿を見た。
ベッドの上で胡座をかいて腕を組み、一つ一つのパネルの内容を確認。
時折口元が動いてるのが見えるのは、きっとごたんだごーと何か話しているんだと思う。
けれど、その度に眉を顰めているから、きっと、だんだんが欲しい返答じゃなかったんだと思う。
それでも、だんだんは次々とパネルを操作し、確認し、必要な事項を保存し、そして再び眉を顰めては苛立ち気に頭を掻いて操作を続ける―――――――。
そんなだんだんの様子を、私は気付かれないようにじっと眺める。
寝ぼけは何処かに消えてしまい。私は唯一心に、だんだんの横顔を眼に焼き付けることに没頭する。
さっきから心臓がドクンドクンと高鳴って仕方ない。
だんだんに気付かれちゃうかな。
胸を抑えるけど、一向に治まってくれないどうしよう…。
お願い治まって。
もうちょっとだけ、今のだんだんの姿を見ていさせて。
そんな私に気付く様子もなく、作業に集中するするだんだんにホッとしながらも。だんだんから眼が離せない。
ど、どうしよう…明日、絶対に寝坊しちゃうよ~(赤面)
それから数分経っても、だんだんは作業に没頭し。私はだんだんに気付かれないように横顔を眺め続けた。
その中で変化した事と言えば…だんだんの表情が険しさを増した事。
それはきっと、だんだんの望むモノが得られなかったから。
だんだんが困ってる。
何を調べてるの?
それは誰の為なの?
どうしてそんな苦しそうなの?
そんな顔しないで欲しい。
何が知りたいのかも、それが誰の為なのかも分からない。そしてそれは、私が知る必要もないことかも知れない。
だけど―――。
―――― 私は、だんだんの力になりたい。
―――― 困ってるだんだんの為に、私が出来る事をしてあげたい。
そんな考えが、純粋に私の心に生まれた。
ねぇだんだん。
私が、だんだんの為にしてあげられる事って、何かないかなぁー…?
結局。
だんだんの横顔を眺めていたけど、いつの間にか眠ってしまった私は寝坊してしまい。
だんだんにいつものように起こされ、寝ぼけて抱きついてしまったりんりんに怒られるという朝を迎えることになっちゃいました。
あ、あうあ~~~~。ねぶしょくだぁぁ。
う、う~~~~…。
「もーっ! だんだんのせいなんだからーっ!(真っ赤)」
「なんでさっ!?」
「あんた何したのよ? ほら言いなさいよ、裁いてあげるから。」
「ふむ? まさか引き出しの中のエロ本の事かね? そのことを注意しようかどうか迷って寝付けなかったとか?」
【ああ、アレですか。】
「あんた何持ち込んでんのよ!? というか知ってんなら注意しなさいよ七代目!?」
「ちなみに厨房にもっと凄いのがあるぜ!?」
【ああ、それもでしたね。】
「オープン過ぎるわああああああっ!? そして何容認してんのよ!? このポンコツIS!! 処分よ! 全部処分!!」
「む~~~~~~っ!! しょっ処分だーっ!」
「昨日ゴミに出したが?」
「「潔い(~)!?」」
そんな朝の一幕を過ごしながらも。
私は何か自分に出来る事を探そうと決めたのでした。
私も頑張るよ~、だんだん♪
【セシリアSIDE】
【…以上、お天気でした。では次のニュースです。今から二日前、IS操縦者育成教育機関『IS学園』にて、『IS学園』の校門前に数十人の男性が下着姿で倒れていた事件についての新たな情報が入りました。】
【世も末ですね。】
【この事件は、IS操縦者育成教育機関『IS学園』の校門前に下着姿の男達が倒れていると地域住民から通報が入り発覚した事件で、『IS学園』に侵入を試みたのではないかと駆けつけた警官が判断し、現行犯逮捕しました。】
【日本の警察も中々やりますね。】
【調べによると、男達は全員一概に『我らは秩序ある真の【紳士と淑女の世界】の為に行動したのだ!』と、支離滅裂な言動を繰り返すばかりで捜査は難航しているとの事でしたが、この男達の中の一人が女性物の下着を握りしめていたことから、集団での下着の盗難を目論んだ線が濃厚となった模様です。】
【最悪ですね。】
【この事に対し、男は犯行を否定しており。『奴が握らせたに違いない! 調べてくれ! それはきっと新品だ!』と訴えているようです。】
【何言ってるんでしょうか?】
【この事件に対し、政府側は『IS学園』のセキュリティーシステムの不備を問題視し、強化及びセキュリティーの再メンテナンスを検討。各国を交えた会合での議題の一つとして取り上げる事を決定しました。】
【心配せずとも大丈夫でしょう。…あそこには彼がいるのだからっ!!】
【では次のニュースです。日本の農家にツチノコが大量発生し、駆除に対する効果的な―――】
【『DANSHAKU』―――――――――――――ッ!!】
【―――― ふぅ。えぇとスタンガン何処だっけ? え? 待ち合い室? 今すぐ取って来てくれる? ああ、それから青酸カ―――】
【――――――――― しばらくお待ちください。――――――――――】
食堂。
昼食時わいわいと人で溢れる中、私はテレビから流れるニュース耳を傾けながら優雅な食後のティータイムを過ごしている所です。
「…ふぅ。全く、最近は嫌なニュースばかりですわね。」
紅茶を一口飲みながら、私は溜息を一つ吐いた。
全く、この学園に侵入を試みるなんて。これだから男という生き物は。
…何か妙な名称が聞こえた気がしましたが気のせいでしょう。ええ、気のせいですわ絶対に。
朝のSHRでも、先生方から十分な注意をするよう念を押されましたが、まぁ気にする事でもありませんわ。
もし現れたとしても、返り討ちにして差し上げますもの。
でも今はそんな事はどうだっていいですわ。今、私が頭を悩ませる事と言えば…はぁ。
溜息をついて、私は紅茶の入ったカップをテーブルに置く。
「最近、一夏さん達と時間が合いませんわね…。」
今から二日前。
そう、あの凰鈴音という中国の代表候補生が転入した来た翌日の事。
登校して、一夏さんの元に足を向けたら。
豆腐を頭にぶちまけて気絶している一夏さんの姿に絶叫し。
その一夏さんの手を取り、豆腐の水で机に『しんし』とダイイングメッセージを自らの手で書かせている五反田さんの姿に唖然とし。
そんなお二人の様子に『はんにんは、おまえだー♪』と楽しそうな布仏さんに脱力したあの日からでしたわね。
――― 何故かしら、急に空を眺めたくなりましたわ。
ま、まぁとにかくです。あの日から、妙にお二人共落ち着きがなくなってしまいました。
それというのも。
五反田さんが休み時間、昼食時間、そして放課後も姿を消してしまい、ここ数日会話らしい会話ができなくなってしまったからです。
そのせいか、いつも行動を共にしている一夏さんが、五反田さんの事を気にしているようでソワソワと落ち着かない上に、調子が出ないご様子なのです。
今日も食事を誘った所『悪い、今はちょっと一人で考え事したくてさ』と断られてしまいました。
きっと五反田さんに何かご相談があるからなのでしょうけど、その五反田さんがいないのですから仕方ありません。
本当なら私に相談してほしい所なのですが…はぁ。
また一つ溜息をつく。
何を言っているのでしょうか私は。私など相談される程の大層な人間ではないというのに。
「はぁ。」
「ふぅ。」
「「……。」」
「「…ん?」」
溜息をついた所。
私以外の溜息をつく存在に気が付き、そちらに目を向けてみました。
するとそこには、きつねうどんをテーブルの前に置き、こちらに同じタイミングで視線をむける篠ノ之さんの姿がありました。
お互い視線が絡み合い―――。
「っはあああああぁぁぁぁぁぁぁ~…。」
「…何故私の顔を見て、今まで以上に深い溜息をつくのかご説明願いたいところですわ篠ノ之さん!?」
「いや、特に意味は無いが。なんとなくだ。」
「凰さんには舌打ちされた上ハズレ扱いされるわ、貴女には盛大に溜息つかれるわ最近私の扱いが酷くありません!?」
「何を言っているんだお前は?」
そんな私に、意味が分らないという表情を向ける篠ノ之さん。
くっ…!? 貴女は私と同じような扱いを受けていないからそんな事が言えるのですわっ!! 色々とキツイ上に結構傷つくんですのよ!?
そんな私の様子を見ていた篠ノ之さんでしたが、不意に顔を曇らせ私に言葉を投げかけてきました。
「それに…私の溜息の理由など、お前だって知っているだろう。」
「それは…まぁ。」
「「……」」
「「っはあああぁぁ~。」」
二人同時に溜息をつく。
私たちの様子に、周りが妙に訝しげな視線を向けてくるのが分かります。
すみません。楽しい昼食時中だというのに。
それでも私と篠ノ之さんの表情は変わらず曇っている。
それというのも―――――――――――――。
『―――あの馬鹿女達にハブられてたじゃないっ!! あいつら揃いもそろって一夏一夏一夏っ!! 弾が隣にいるって言うのにまるで眼中にないみたいな態度で!! 何を言っているのかも理解しようともしないで!! 自分の事ばっかり!! 弾が何も言わない事を良い事にあいつら――――!!!』
―――――― あの日の凰さんの怒声が頭をよぎった。
思い返し、二日経った今でも。
彼女の言葉は、私の心に突き刺さって来る。
あの日、一夏さんの特訓を終えた私は。
まだピット内にいるであろう一夏さんの為に飲み物とタオルを用意して意気揚々と向かったのでした。
そして偶然、部屋に戻る途中の篠ノ之さんと遭遇してしまい『唯の差し入れですわ!』『そんな物必要ない!』『私がしたいからしてるんですの!』『媚びるというのだそれは!』『なんとでも! 貴女はさっさと部屋にお戻りになればよろしいじゃありませんの!?』『わっ私も行くぞ!』『何故ですか!?』『わっ忘れ物をしたのだ! 取りに行くだけだ!』と、互いに口論しつつピットへ赴き――――。
彼女の怒りを知り。
己の愚かさを知り。
――――― 私たちは、静かにその場を離れたのでした。
なんて酷い事をしてしまったのでしょうか。
無意識だったとしても、そんな意図はなかったと訴えても、そんなモノ言い訳にしかなりません。
彼女が食堂から去った後に見た。あの五反田さんのいつもの笑顔が眼に浮かぶ。
私達は、あの時彼の寛容さに、咄嗟の言葉に助けられたという事に今更ながら気付いたのです。
自分の愚かさが恥ずかしい。自分の無神経さに目眩がする程落ち込みました。
けれど、私が一番、自分自身で信じられない事は―――。
なら何故、あの時彼は言い返さなかったのですか? 自分の事だというのに、他人のことばかり気遣って。言い返さない彼も悪いのですから自業自得では?
―――― ふと、そう考えてしまった事だ。
凄まじい自分の考えの醜さに、嫌悪感が湧きでた。
なんてことを考えているの!?
そう自分に言い聞かせても、心の片隅ではその考えを捨てられない自分がいる。
そして何故、こんなにも苛立っているのか。私には分からなかった。
何故? どうして? 自分に苛立ち、五反田さんのあの笑顔に苛立ち。
分からない。
彼に対する罪悪感、そして謝罪をしたいという気持は確かにあるというのに。
それにストップを掛ける私がいる。
私は一体どうしたというの?
そんなこんなで、私は結局ズルズルと考えこんでしまい。
二日経った今でも、五反田さんに謝れないでいる。
…はぁ、それも言い訳ですわね。
本当に謝る気があるなら、五反田さんを探すべく行動すればいいだけなのですから。
それをしないということは、私は彼に謝るのを心の何処かで拒絶しているから。
はああぁぁ…私って、こんなにも心の狭い女でしたの?
そして同時に思う。あの五反田さんの表情を、あの気の抜けた笑顔を思い出して、何かが心に引っ掛かる事に。
そう、その引っ掛かりさえ取れれば…きっと私は彼に謝ることが出来る。
でも分からない、何が引っ掛かっているのか。
脳裏に浮かぶ、彼の行動。
自分よりも、周囲を気にしているあの態度。
そして、私を一番苛立たせる要因である…あの気の抜けた表情。
男なのでしたらもっとシャンとしたらどうですの。
なぜそんなにヘラヘラとしているのですか。
どうして酷い事言われて笑っていられるのですか。
何故言い返さないのですか。
何故自分の事より、周りを気にするのですか?
それではまるで――――――――――――。
『―――― セシリア。』
「―――――――― ッ!?」
ガタァン―――ッ!!
「―――― なっ!? なんだ突然!! どうしたのだ一体!?」
「―――ッ!!」
「お。おい? どうしたのだ? 顔色が悪いぞ?」
椅子を倒して乱暴に立ち上がるという、本来なら決して淑女としてあるまじき行為であるにもかかわらず、私はその事に考えが及ばない程に動揺を隠せなかった。
耳元に心臓があるかのようにドクンドクンと鼓動が聞こえる。
篠ノ之さんが、気遣うような視線を向けるも、私は繋がった一つの答えに驚愕し…そして全ての感情が一つへ集約するのを感じた。
「あ…ない…。」
「む? 何だ? 今なんと言ったのだ?」
うわ言のように、小さく呟く。少しづつ、少しづつ私が今すべき事を口にする。
「あ、会わないとっ。」
「会わないと? 誰に?」
「会わなきゃ…彼に、五反田さんに会わないとっ!!」
「弾に? しかし、私も先程まで探してはいたんだが、何分行動に一貫性がなく、今も何処に居るのか――――」
「そんな事関係ありませんわっ!! 絶対に探し出します!!」
「ど、どうしたのだというのだ突然に!?」
「篠ノ之さん! 五反田さんを探すのを手伝ってくださいっ!!」
「今からか!? わ、私は今からこのキツネう――――――――――!!」
「さぁ!! 行きますわよ!!」
「ま、待てええええ!? だから私は今から昼食だと言っておろうがっ!!?」
「昼食一つ抜いたくらいで死にはしませんわっ!! さぁ早くっ!!」
「死ぬぞ!? 次は織斑先生の実習なんだぞっ!? 食事を抜くなど自殺行為そのものではないかああああああああああっ!!?」
「絶対に見つけますわ!!」
「待て! せめて油揚げだけでも! いや汁の一口だけってだから待てえええええ!! ぐぬぬぬ! わ、私が引き摺られているだと!? い、一体その体の何処にこんな力があるのだ!? これが代表候補生の力だとでもいうのかあああああああ!?」
篠ノ之さんを引きづりながら、私は食堂を後にする。
繋がった答え。
私が、何故彼に苛立ち、同時に自分にも苛立っていたのか。
そして、何故こんなにも、五反田さんに会って、話しをしたいのか。
―――――― お父様…っ!!
彼は、五反田さんは…似ているのです。
あの笑顔も、行動も、全部とは言いませんが…けれど、似ているんです。
私が軽蔑した人に。
私が苛立った人に。
私が情けない男だと思った人に。
―――― けれど、大好きだった人に。
話したい、五反田さんと。
謝りたい、五反田さんに。
知りたい、五反田さんを。
そして理解したい。
貴方を通じて―――――――――――――お父様の事を。
もう知る事が叶わないと思っていた。
――――――――――――――― 本当のお父様の姿を。
私は、逸る気持ちをそのままに、廊下を進んだのでした。
【虚 SIDE】
「おねぇちゃあぁ~~~~ん!! へ、へるぷみー。 えぐえぐ。」
「…どうしたの本音?」
昼休み。
生徒会室で仕事をしつつ、その合間合間にサンドイッチを食べ昼食をとる私に、生徒会の招集以外に、こちらに寄り付かない本音が珍しくやって来た。
それもお弁当箱を持って、泣きながら。
はぁ。今度は何?
少々呆れつつも、私は本音を椅子に座らせ事情を聞くことにしました。
それでもパカっとお弁当の蓋を開け、唐揚げ一つ摘まんで口に含むと。いつも通りほにゃっとした笑顔に戻る。
相変わらず単純ね。
「うまうま~♪ だんだん特製おべんとーはおいしいよー!」
「…。(ピク)」
「あむあむ。」
「んんっ! 本音? それは五反田くんが作ってくれたの?」
「ん~? そだよー。最近はいそがしーから、一緒にご飯、食べ…うええ~~。」
「ど、どうして泣くのよ? ほらこれで拭きなさい。」
「えぐえぐ…ちーん。う~。」
「それで? どうしたの一体。」
少し鼻の赤くなった本音に、もう一度訪ねる。
すると本音が、また大きな瞳を潤ませ口を開いた。
それから合間に挟んでお弁当食べるのはやめなさい行儀が悪いわよ。
「う~、だんだんがねー? はぐ、何か調べ物をしててー。んぐ、はむはむ…忙しいから…あむあむ、いっ一緒にご飯食べることが減っちゃって~んぐ。最近はりんりんと私にお弁当手渡した後にー、はむんぐ…何処かに行っちゃうの~。あむあむ、うまうま。」
「…。」
―――― ゴチンツ!!(愛の鉄拳)
「―――― っうええ~~~~!? い、いったあああぁぁぁいぃぃぃっ!」
「食べるのは後にして、ちゃんと話しなさい。」
「ご、ごめんさいぃ~~。」
「全く。」
「う~~~でも、なんだかいつもより威力があったようなー…?」
「気のせいよ(サラリ)」
そんなことある訳ないでしょう? いつもと同じです。
全く人聞きが悪いこと言わないで欲しいわね。
決して、羨ましいとかそんな事思っていません。
ええ、思っていませんとも。
本音が訝しげに私を見るけど、あら? 何かしら? 何か言いたい事でもあるのかしら?(スッ)
「な、何も言ってないよぉー、言ってない~。」
「コホン。それで? 五反田くんがお弁当を手渡してくれた後、何処かへ行ってしまって寂しいって話なの?」
「んー、それもあるけど~。」
「?」
「うー。だんだんが、困ってるから。私も何かしてあげられないかなーって思ったの。」
「…そう。」
「そうなのー。」
そう言って、しょんぼりする本音に、私は小さく苦笑する。
本当に、のんびり屋の上にお人よしなんだから。
それにしても、あの五反田くんが困っているという話を聞いて少なからず驚く。
五反田くんは、何事もそつなくこなす印象が強い。
そんな彼が困っている事態というのは一体どんな事を調べているのかしら。
「困っている事。本音? 五反田くんは何に困っているの?」
「んー。分からないー。」
「はい?」
「それが分らないからー。私も何をしてあげればいいのか分からないの~!」
「な、なんなのそれは全く。はぁ…。」
「おねえちゃん~~~~~。へるぷみー。」
「それで私にどうしたらいのか聞きに来たって訳なの?」
「そー。」
「この娘は全く…。」
鋭いのか、鈍いのか。
何に困っているのか、それが分らないと私にもどうしたらいいのか教えてあげられる訳がないでしょう。
再びしょんぼりとした本音に、私は内心呆れながらも。
とりあえず机の書類から意識を外し、本音に体ごと視線を向ける。
「まずは、五反田くんに話を聞くべきでしょう? 何に困っているのか、何を調べているのか。まずはそれが分らないと手の打ちようがないでしょう。」
「んー・・・でも、なんだか話題を反らされて気が付いたら、パフェ食べてましたー♪」
「誘導されてどうするのよ。」
「んーでもそれって、だんだんが私に迷惑がかかるのを嫌がったからだと思う~・。むー、そんな事気にしなくてもいいのに~!」
「成程ね。でも、それじゃいつまでも先に進めないわよ?」
「が、頑張ってるんだけど…うわーん! だんだんお菓子で誘導は反則だよ~。」
「お菓子でつられてどうするのよ貴女はっ!? 全くもう。」
頭を両手で押さえて『にゃあ~~~~~』っと叫ぶ本音に呆れつつ、私は溜息をつく。
この子は本当に。
それにしても、五反田くんは一体何を調べているのかしら?
――― そう思ったその時。
スパアァン!!(扉オープン)
「―――― 話は聞かせた貰ったわ!!」
「「会長(~)っ!?」」
パンッと扇子を広げ『盗み聞き』という文字と共に現れた楯無お嬢様。
…いえ、それはいいのですが。盗み聞きって。
そのまま生徒会室に入って来たお嬢様は。
私達に近づくと、そのまま流れるような手つきで本音のお弁当から唐揚げを一つ取り口に含む。
―――って、何をしてるんですか何を。
「~~~~~美味しい! 流石ダーリン! 料理の腕も大したものだわっ!」
「あー!ああ~~~!! 唐揚げっ! さ、最後の一個に取っておいたのに~~~!! うわああああん!」
「か、会長。本音が割と本気で泣いちゃったんですが?」
「え? あ、あれ? そんなに?」
「うえええぇぇ~~~~~! だんだんが作ってくれたのに~~~~~っ! 私のなのに~~~~~~~~~~っ! うええええええええぇぇぇぇぇん!!」
「もしかして、ダーリン分が足りてなくて、本音ちゃん結構まいっちゃってたの!? あ、あら~。これは不味い事しちゃったわね~(汗)」
「な、なんですかそれは?」
「ダーリンと一緒に居ることで補充される素敵成分よ? ダーリンと親しければ親しいだけ、ダーリン分がないと精神的に弱くなってしまうの。」
「そうですか。はぁ…。」
「んふふ♪ 虚ちゃんの場合は、その成分が足りないから、仕事に没頭して寂しさを紛らわせてるのよね?」
「は、はい? なっ何を言って「だぁって。この書類まだ処理する必要のない案件よ? 昼食時間に生徒会室に来てやる程の事じゃないと思うんだけどー♪」そ、それは…っ。」
会長の言葉に、少し赤くなる。
い、いえ、別に寂しいとかそんな訳ではなくてですね?
ほ、ほらあれです。は、早いうちに片付けていた方が急な事態に対応できるじゃないですか。
ですから別にそんな意図は決した私にはなく―――。
そんな私の思考もお構いなしに、お嬢様がニコニコした笑顔で話を続ける。
「ま、それだけダーリンは周囲に与える影響力が半端じゃない存在ってことよ♪ 知れば知る程夢中になるよ。あの子は…ねっ♪」
「コホンっ!」
「ひっく。うううう~、ぐしゅ…ハム。あむあむ。」
「ああ~~~ごめんね本音ちゃん~。謝るから許してちょうだい。」
「む~~~~~~~~っ!!(お弁当ガード)」
「もう獲らないってば~。」
頬を膨らませ、お弁当を両手で固めながら楯無お嬢様を威嚇する本音。
そんな本音を微笑ましげに眺めるお嬢様。
そんな二人に視線を向けつつ、私は話を戻す。
「それで会長? 先程話を聞いたとおっしゃいましたが?」
「あ、そうそう。それなのよ。」
「む~?」
「もう、本音ちゃん! そんな面白…大事な話をどうして早く教えてくれなかったの!?」
「え~?」
「今副音声が…?」
「気にしちゃ駄目よ♪ まぁそんな事はともかく!」
パンッ!!
もう一度、お嬢様が扇子を開き『助太刀』の文字と共に、高らかに宣言する。
「これより! IS学園生徒会は、ダーリンに全面協力する事をここに宣言します!!」
「え~~~~~~~っ!?」
「か、会長!?」
突然の宣言に、私も本音も驚いの声を上げた。
ぜ、全面協力って!!
はっきり言うと、それはとんでもない事です。
知っての通り、IS学園生徒会の力は学園内では相当の力を持っています。そして、さらに言えば、生徒会長であられる楯無お嬢様は、更識家現当主でもあります。
IS学園生徒会が全面協力。
つまりそれは、更識家の力も使う事も視野に入れた上でのという意味になります。
い、いくらなんでもそれは…!!
事の大きさに私も本音も驚くけれど。そんな私達に、楯無お嬢様はウィンク一つしてニコリと笑う。
「んふふふ♪ そんなに驚く事じゃないわよ? ちゃんとこちらにもメリットはあるんだから♪」
「メリットですか?」
「そう。IS学園生徒会の力をダーリンに魅せるいい機会になるし。んふ♪ 私達と仲良くすると色々お得だって、教えられるじゃなーい。」
「え、えーと?」
「会長。まさか本気で…?」
私の呟きに、会長は―――― 楯無お嬢様は、瞳の輝きを一層強くし微笑む。
獲物を狙う鷹の如く。
悠然と、堂々と野を行く王者の威風をたたえながら、会長席に腰をおろす楯無お嬢様。
「――― ねぇ二人共。覚えてる?」
にっこりと笑うお嬢様に、私も本音も呑まれて。
ただ、自分達の主の姿を瞳にうつし―――――――見惚れる。
そうでしたね。
お嬢様は、昔からそうでした。
本音がほにゃっとした笑顔を向け。
私が小さな苦笑を洩らした事を確認した楯無お嬢様は満足そうに頷き――――。
「私って、本当に欲しいモノを手に入れる為なら…出し惜しみなんてしないの。最初から自分が出せる最高額を啓示するってこ・と♪」
そう、楽しげに言葉を漏らした。
後書き
お、遅くなりました・・・・すみません。まさかここまで更新が遅れるとは・・・さらに言えばまだバタバタしてまして、SS書く時間が取れないという悪循環におちいっております。まぁそんことはさておき、いよいよ動き出した弾に生徒会メンバー。さらにポニー&パッキンも交えて、鈴救済に向け本格始動です。さらに言えばパッキンも救済なるかもです。さて次回、情報収集に奔走です。手札が揃うのはまだ先か・・・? あー・・・早くなんとか落ち着かせないと・・・・。番外編で繋ごうかと思いましたが・・・・一巻軸終了させてからじゃないと切りが悪いのでやめときました・・・・・。